Q2
運動神経とか、運動ニューロンとかいうのはなぜですか?Q3
運動神経はどこにあるのですか?Q4
ALSと診断されました。死に至る病と聞きましたが、本当でしょうか?Q5
ALSの治療薬はないのでしょうか?Q6
ALSはどういう症状で始まるのでしょうか?Q7
球症状とか球麻痺という言葉を聞きますが…。Q8
ALSに冒されない筋肉もあるのでしょうか?Q9
私の友人がALSと診断されました。私も、� ��足の筋肉がピクピクすることがありますが、同じ病気なのでしょうか?
Q10
ALSはめずらしい病気なのですか?遺伝しますか?Q11
どうやってALSと診断するのですか?Q12
ALSと診断されましたが他の病気の可能性はないのでしょうか?Q13
ALSと診断されました。どうしてこんな病気になったのでしょうか?Q14
ALSと診断されました。私はこれからどうなるのでしょうか?すぐ歩けなくなるのでしょうか?
Q15
身体が非常にだるいのです。Q16
感情をコントロールすることができません。Q17
手や足がむくむのですが� ��。Q18
よだれがダラダラ出て困ります。Q19
ねばい痰が喉にからむのですが…。Q20
胸やけがひどいのですが…。Q21
便秘で困っています。Q22
夜眠れません。Q23
ALSと間違えられるような病気には、どのようなものがありますか?Q24
リハビリはどの程度、やればよいのでしょうか?Q25
病気の進行を少しでも遅くする方法はないのでしょうか?Q26
長続きする介護のための"こつ"は何ですか?Q27
人工呼吸器を付けたままで、在宅療養することは可能なのですか?Q28 停電などの緊急時には、ど� �したらよいのでしょうか?Q29
人工呼吸器を付けているのですが、食物を口から全く入れてはいけませんか?Q30 気管切開しているのですが、気管カニューレからの喀痰の吸引が頻回で大変なのですが…。
Q31
医療費、生活面での補助金制度はないのですか?Q32
人工呼吸器を付けたALS患者を入院させてくれる病院はありませんか?Q1
どうして『筋萎縮性側索硬化症』という難しい名前がついているのですか?A. 『筋』は筋肉を意味します。『萎縮』というのは医学用語で何かが小さくなったり
弱くなったりするときに使われ� �す。『筋萎縮性』というのは、運動神経がなくな
るために筋肉がやせて弱くなることを意味します。『側索』というのは、脊髄を輪
切りにしたとき、左右両側に位置する部分を指します。『硬化症』は医学用語で硬
くなるとか傷になることを意味します。したがって、側索硬化症というのは、運動
神経がなくなったために脊髄の左右両側が硬く傷となる事です。まとめると
『筋萎縮性側索硬化症』は、運動神経がなくなるために筋肉が痩せ衰えて力が入ら
なくなる病気ということになります。
Q2 運動神経とか、運動ニューロンとかいうのはなぜですか?
なぜ犬がプラスチックを食べていますか?A. 人間の身体には、1000億個の神経細胞(ニューロン)があると言われています
。神経細胞はコンピューターのようなものです。神経細胞には役割分担があり、い
くつかの種類に分けられます。例えば、暑い、寒い、痛い、美味しいなどの感覚を
を司るのは知覚神経、私たちが寝ている間も心臓や胃腸を動かしてくれるのは自律
神経、このほか理性的に考えたり、感情を司る神経などがあります。そして、手足
を動かしたり、食べ物を飲み込むとか運動を司るのが運動神経(運動ニューロン)
です。運動神経があるおかげ� ��、雑誌のページをめくったり、おしゃべりをしたり
することができるのです。どういう訳かALSでは、この運動神経だけが病気とな
り、知覚神経や自律神経などは冒されません。ですから、ALSになっても痛みを
感じ、心臓はちゃんと動き、食物は消化されます。でも、呼吸をする筋肉は運動神
経が支配しているため、ALSが進むと呼吸が困難となります。 もどるQ3 運動神経はどこにあるのですか?
A. 運動神経がどのように筋肉を動かすのか少し考えてみましょう。例えば、指でお箸
を動かすとき、まず、大脳にある運動神経(上位運� ��ニューロン)が興奮して刺激
(=命令)脊髄まで送ります。そして、脊髄の前角という場所にある運動神経(下
位運動ニューロン)を刺激(=命令)します。今度は、この運動神経が興奮して刺
激を指を動かす筋肉まで送ります。そして、刺激を受けた筋肉が収縮して指が動く
のです。運動神経は2種類に分けて考えることができます。このように大脳にある
運動神経が『上位運動ニューロン』、そして脊髄の前角にある運動神経を『下位運
動ニューロン)と呼びます。そして上位運動ニューロンが脊髄を下がってゆくとき
通る場所が『側索』と呼ばれる左右両側の部分です。ALSでは、上位運動ニュー
ロンと� �位運動ニューロンと両方がなくなってゆきます。上位運動ニューロンがな
くなると反射が亢進したり、手足がつっぱったようになります。下位運動ニューロ
ンがなくなると筋肉が痩せ衰え、力が入らなくなり、筋肉がピクピクと細かい収縮
をしたりします。ところで、医師が診察するときに腕や足を小さなハンマーで軽く
叩くと、急に腕や足が動くのが『反射』です。 もどる
Q4 ALSと診断されました。死に至る病と聞きましたが、本当でしょうか?
A. ALSは徐々に進んでゆく病気です。筋肉が痩せ、力がなくなって� �きます。
もっとも困ることは、助間筋などの呼吸に重要な働きをする筋肉が痩せ衰えてゆく
ことで、このため呼吸をするのが困難になります。最後には呼吸をすることができ
なくなります。しかし、人工呼吸器を付ければ、さらに長く生きることも可能です
もう一つの問題は、食事を飲み込んだり(これを『嚥下』と呼びます)するために
必要な喉の奥の筋肉が働かなくなり、食事を取ることができなくなったり、窒息し
たりすることもあります。ALSと診断されてからの余命は3ないし5年と言われ
ていますが、個人差があり中には30年以上も大丈夫な人があります。 もどる Q5 ALSの治療薬はないのでしょうか?
A. つい最近まではありませんでした。アミノ酸、ステロイド、ビタミンなど多くの薬
が試されましたが、はっきりとした効果を示すものはありませんでした。しかし、
1995年の末になって、ALSの歴史上初めての『治療薬』が登場しました。
リルゾール(商品名:リルテック)がそうです。これはフランスに本拠を置くRP
Rという会社が開発した薬で、欧米で行われた治験(新しい薬の効果を試してみる
研究のこと)で効果が認められました。日本でも、1999年4月から認可されま
した。しかしながら、『治療薬』とい� �ても、病気が治るわけではありません。
病気の進行を遅くする薬ということです。 もどる
Q6 ALSはどういう症状で始まるのでしょうか?
musceを細断処理する方法A. ALSの始まりの症状にはいろいろあります。基本的に、筋肉が痩せ衰えてゆく病
気なので、手や足の力が入らないとか、手足が痩せてきたという症状がよくありま
す。右腕から始まることもあれば、左足から始まることもあります。車のエンジン
をかける時に、キーを回す力がなくなったとか、階段を上るのが大変になったとか
歩いていて転びやすくなったなどの症状が見られることがあります。
また、喉の奥の筋肉が冒された場合には、食事や飲み物を飲み込みにくい、むせる
という症状で始まったり、しゃべる言葉がどうもはっきりしな� ��などという症状で
始まることもあります。時には、筋肉や皮膚がピクピクと動く(筋線維束攣縮)、
体重減少などで気づかれることもあります。ALSの患者がこれらの全ての症状を
持ちあわせる訳では必ずしもありませんが、どこかの筋肉が痩せて弱くなるという
こと、そして最後には横隔膜の筋肉が弱くなり呼吸するのが困難になるという共通
しています。 もどる
Q7 球症状とか球麻痺という言葉を聞きますが…
A. 「球」というのは、脳と脊髄の間にあり、「延髄」とも� �ばれる所で、100年以
上も前に解剖学者がチューリップの球根のように見えるとことから、「球」と名付
けました。この部分には、しゃべったり、水分を飲んだり、食べ物を噛んだりする
ために必要な口、喉の筋肉を動かす運動神経が存在します。この運動神経が冒され
て言葉がはっきりしなくなり(構音障害)、食べ物を飲み込みにくくなる(嚥下障
害)ことを「球麻痺」と呼びます。球麻痺だけで、手や足の症状がない場合を進行
性球麻痺と呼び、ALSの一つのタイプです。こういうタイプでも時間の経過とと
ともに、手足の筋肉が冒される場合がほとんどです。反対に、ALSの患者さんの
30%位は、 球症状がみられません。 もどるQ8 ALSに冒されない筋肉もあるのでしょうか?
A. 目を動かす筋肉や、膀胱の尿や直腸の便が漏れないようにする括約筋は、冒されな
いのが特徴です。従って、尿便失禁をきたすことはまずありません。また、目の動
きは、かなり病気が進んでも保たれており、コミュニケーションに重要な役割を演
じます。ちなみに、心臓の筋肉は冒されません。さらに、肝臓、腎臓などの内臓や
性機能、見たり、聞いたり等の五感は保たれます。また、ぼけたり、精神機能に異
常をきたすことは、ま ずありません。痛みやしびれも普通は見られません。こうい
う症状があれば、ALSではない可能性があります。 もどる
Q9 私の友人がALSと診断されました。私も、手足の筋肉がピクピクすることがあり
ますが、同じ病気なのでしょうか?
A. ALSにみられる動きは「筋線維束攣縮」と呼ばれ、脊髄前角の運動神経が弱った
り、消えて行く時に出ると考えられます。皮膚をよくみるとピクピクと動いている
のが見えますが、手や足自体が動くことは、まずありません。弱くなった筋肉に見
られることが多いのですが、� �見正常の筋に見られることもあります。しかし、こ
の現象はALSだけにみられる現象ではなく、他の神経や筋肉の病気で見られるこ
とがあり、さらに正常人でも見られることがあります。従って、これが見られたか
らといってALSという訳ではありません。また反対に、ALSでも、これが見ら
れないこともあります。 もどる
Q10 ALSはめずらしい病気なのですか?遺伝しますか?
A. ALSは20歳から80歳代まで、どの年齢でも発病しますが、50歳代にもっと
も多い病気です。毎年、人口10万人当たり1人か2人が新たに、この病気と診断
を受けます。ALSの90%ないし95%は偶然に起こり、家族に同じ病気の人が
いません。こういうタイプは「弧発型」と呼ばれます。残りの5%から10%のA
LSでは、家族に同じような病気の人がいて「家族性」と呼ばれます。家族性AL
Sには、FALS1,FALS2,FALS3の3つの型があります。FALS1
の場合は、21番目の染色体に原因となる遺伝子が存在することが発見されており
血液検査で遺伝子異常があるかどうかを調べることが可能です。この遺伝子はSO
D(スーパーオキサイド ディスミュー� �ース)と呼ばれます。FALS1以外の
FALSでは、原因の遺伝子は分かっておらず、血液検査で遺伝子異常を調べるこ
とはできません。 もどる
Q11 どうやってALSと診断するのですか?
ことで、「所見」というのは医師が診察して発見する異常のことです。検査として
は血液検査、そして筋電図検査があります。「筋電図検査」では、軽い電気刺激を
手足に与えて、末梢神経の機能を調べ、さらに細かい針を筋肉に刺して、電気的活
動を調べます。症状を聞き出す方法、所見のとりかた、筋電図検査等、いずれも、
相当な経験を要します。
Q12 ALSと診断されましたが他の病気の可能性はないのでしょうか?
双子は同じ嚢を共有することができますA. ALSに似た症状や所見でも、他の病気の可能性があります。例えば、腕の筋肉の
痩せで始まった場合には首の骨(頸椎)の病気(頸椎症)のことがあります。また
球麻痺の症状で始まっても、筋無力症という病気であることもあります。さらに、
伝導ブロックという特殊な筋電図検査での異常を伴う末梢神経の稀な病気でも、A
LSによく似た症状を示すこともあります。これらの病気はいずれも治療方法があ
り、進行の具合や機能障害の程度がALSとは非常に異なります。 もどる
Q13 ALSと診断されました。どうしてこんな病気になったのでしょうか?
ストレスでしょうか?
A. ALSのほとんど(90%から95%)は、明らかな原因なく発病します。世界中
の研究者が調べていますが、まだ原因を突き止めていません。仮説としては、
(1)自己免疫と言って、本来自分の身体を細菌やウイルスなどの侵入者から守る
ためのシステムが、誤作動して自分の身体を攻撃してしまうという考え
(2)ポリオのウイルスが脊髄に入り込むと、前角にある運動神経だけが冒され、
ALSに似て筋肉が痩せ衰えることから未知のウイルスではないかという考え
(3)土や食べ物のなかの金属や有害物質によるという考え
(4)活性酸素による神経細胞のダメージ
(5)グルタミン酸が神経細胞を壊す
…などなど沢山ありますが、いずれも確認されていません。従って、普通の食事を
して、これまで通りの生活をして問題ありません。また、ウイルス説があるからと
言って、他の人に伝染する病気でもありません。ストレスも直接は関係ありません
もどる
Q14 ALSと診断されました。私はこれからどうなるのでしょうか?
すぐ、歩けなくなるのでしょうか?
筋肉が痩せ衰えてゆくということです。最初の最初は右足の症状で始まっても、や
がて左足、そして腕と広がってゆきます。この進行の具合は人により様々です。途
中から進行が早くなる人もいます。ALSの患者で15%から25%の人は、最初
に症状が出てから10年以上生存できます。反対に非常に進行の早い人では、1年
で呼吸するのが困難になる場合もあります。平均すると2年から5年に渡っ� ��進行
してゆきます。このように進行の早さには大きな違いがあります。
Q15 身体が非常にだるいのです。
A. 身体がだるい、疲れやすいという症状はALSでよく見られます。脊髄前角の運動
神経が徐々に消えてゆくにつれて、残った運動神経が正常人の者に比べて100倍
も興奮したり、正常人では使わないような筋肉を動かしたりするからです。従って
非常に疲れやすくなり、階段を昇るのが非常に困難なことがあれば、しばらく休ん
で再び始めると簡単に昇れることもあります。一日の終わりには疲労の極度に達す
ることもあり、自分のペースを守り� ��必要に応じて昼寝をしたりすることが大切で
す。一日にあまり極度の動きをすると翌日にはしっぺ返しを被ることもありますの
で注意しましょう。この症状によく効く薬はありませんが、メスチノン、メチルフ
ェニデート、アマンダジンなどが使われることがあります。Q16 感情をコントロールすることができません。
A. 自分の感情をコントロールするのが困難となり、簡単なことで涙が止まらなかった
り、わけもなく笑ったりすることがあります。これを「感情失禁」と呼びます。笑
ったり、泣いたりする時に使われる呼吸筋や喉の筋肉のコントロールができなくな
るためと 考えられています。もし、これが社会生活の上で支障をきたしていれば、
医師と相談して、トリプタノールやリチウムなどの薬を使用してみるのも良いでし
ょう。 もどる
Q17 手や足がむくむのですが…
す。手足が麻痺したり、筋肉の収縮が弱いと、静脈を通って心臓への血液の戻りが
悪く、このために手足がむくんだりすることがあります。特に、足の力が弱って、
長時間座っているような時に見られます。むくみを取り除くためには、足を挙げた
り、弾性ストッキングをすることが良いでしょう。足のむくみが全く取れない時や
痛みを伴う時には、静脈に血栓という血液の凝固したものがつまっていることがあ
ります。この血栓が� �いて肺動脈をつまらせると、肺塞栓と言って突然息苦しくな
り、時に死に至ることもあります。気をつけなければなりません。 もどる
Q18 よだれがダラダラ出て困ります
たり、むせたりすることがあります。普通の人よりも唾液が多く出てくるような感
じを受けますが、そうではありません。人間は毎日大量の唾液を作っており、口の
中を清潔に保ち、消化を助ける役目をしています。ALSになると、唾液の飲み込
みが悪いためか、唾液が口の中に溜まってきます。もし、これが深刻な問題であれ
ば医師と相談して、薬をもらうのも一つの方法です。
Q19 ね ばい痰が喉にからむのですが…
A. ALSになる前よりも口から空気を吸い込むことが多くなります。このため、唾液
が乾燥して粘調になりますし、唾液を減らす薬を飲んでいる時には、その量が多す
ぎると、さらに口の中が乾燥してきます。あまり、ひどくなると喉の奥につまった
感じがして、しゃべっていても「うがい」をしているようになることがあります。
こういう時には、薬の量を加減したり、加湿器の使用が役に立ちます。ネビュライ
ザーという機械を使うことも良いでしょう。 もどる
Q20 胸やけがひどいのですが…
。これは胃の中にある胃酸が食堂に逆流しているからです。普通は、食堂と胃を接
続する横隔膜の部分に強い筋肉があり、この逆流が起こらないようにしていますが
カフェインを取りすぎたり、辛いものを食べたり、過食したり、横隔膜が弱かった
りすると逆流してしまいます。時に経管栄養を始めたばかりの時に、突然、大量の
栄養物が胃に流れてきたためになることもあります。症状として、胸やけだけでな
く咳が出たり、臭い口臭が出たり、喉がひりひりしたり、声がかれた� ��、息苦しく
なったり、むかむかしたり、夜眠れなくなったりすることもあります。胸やけなし
に、こういう症状が出ることもあります。胃酸を抑える薬はいろいろありますから
医師と相談しましょう。 もどる
Q21 便秘で困っています
なければならなかったり、お腹が痛くなったり、吐き気がしたり、苦しんだりしま
す。原因としては、水分、果物、野菜などの摂取不足、運動不足、そして腹筋が弱
って腹圧がかけられないことなどが挙げられます。一度便秘になると、悪循環とな
ることがあります。緩下剤や浣腸が必要になることもあり、あまりにひどい場合は
腸閉塞になり入院が必要となることもあります。唾液や痛みを抑える薬のなかに、
便秘を助長するものもあり� �すから、医師と相談の上で休薬することも必要です。
もどる
Q22 夜眠れません
A. 夜になってなかなか寝付けなかったり、夜中になんども目を覚ます原因にはいろい
ろあります。眠れないからと言って、すぐ睡眠薬を飲むのではなく、まず原因を考
えましょう。原因を調べるために一番確実なのは睡眠検査をすることです。これは
脳波検査などを含む複雑な検査で、一部の施設しかできません。これが無理なら、
一晩、脈拍数と酸素飽和度をモニターする方法があり、これなら指先に小さなテー
プを着けるだけ で可能で、どこの病院でもできます。こうして、睡眠の障害が中枢
性無呼吸であるのか、閉塞性無呼吸であるのかなどが分かります。中枢性無呼吸と
いうのは、睡眠のリズムを調節する中枢が脳内にあり、ここの障害による無呼吸で
あり、バイバップなどの装置で治療する場合もあります。閉塞性無呼吸というのは
鼻汁、舌、咽頭痙攣などにより、気道が閉塞することによる無呼吸です。この問題
は、球麻痺症状の強いALSに多く見られ、アルコールや鎮静剤で増悪します。
気道が閉じると、夜中によく睡眠から目覚めたり、朝起床時に気分がすっきりせず
昼間に眠気を催したり集中力を欠く原因となります。閉塞性の無呼吸も� ��イバップ
でよくなります。他に、簡単な方法として頭を少し持ち上げたり姿勢を調節できる
リクライナーに寝たり、仰向けの寝ずに横向きに寝たりするすることでよくなるこ
ともあります。睡眠不足の原因としては、この他に足が周期的にピクピクと痙攣を
起こして目覚める人がいます。こういう時には薬で抑えることもできます。さらに
ALSと診断され告知された直後には、不安や鬱病のため不眠となることがありま
す。これが慢性的になるようであれば、医師に相談の上、投薬を受けることも必要
かもしれません。 もどるQ23 ALSと間違えられるような病気には、どのようなものがありますか?
A. ALSは、純粋に随意運動の障害だけを生じてくる運動ニューロンの病気ですが、
同じように運動ニューロンの症状を主体としてくる疾患は他にもあり、時にはAL
Sと間違われることがあります。しかし、これらの疾患の多くは詳しい臨床経過の
聴取と臨床症状の把握により鑑別するのにそれほど困難ではありません。
そのような疾患には、
(1)脊髄性筋萎縮症 (2)原発性側索硬化症 (3)球脊髄性筋萎縮症
(4)慢性炎症性脱髄性多発ニューロバチー
(5)多巣性運動性多発ニュー� ��バチー
(6)シャルコー ・マリー・トウース病
(7)ポリオ後筋萎縮症候群
(8)平山病(若年性ー側上肢筋萎縮症)
(9)慢性甲状腺機能亢進症
この他にも、病初期には、頸椎症、脊髄腫瘍などが疑われることもありますが、次
のような症状が初期からある方はALSである可能性はないと思われます。
・感覚障害 ・眼球運動障害 ・自律神経症状(膀胱直腸障害など)・じょくそう
もどる
Q24 リハビリはどの程度、やればよいのでしょうか?
ます。筋肉に過剰の運動負荷をかけるとかえって筋力が低下することがありますの
で、柔軟体操を主として、翌日まで残らない程度にリハビリを行ってください。
■ALSのリハビリテーションの基本
(1)歩行可能期−健常筋を強化する
−効率的な起居動作の指導(住宅改造の指導)
−自助具を活用するなど、日常生活動作の指導
(2)歩行困難期−各種装具を活用する
−短時間の訓練と休息が重要(過労に ならない)
−姿勢矯正と呼吸訓練を行う
−移動の動作と介助方法の指導(転倒対策)
(3)歩行不能、臥床期
−呼吸・俳痰訓練を行う
−関節可動域維持と車椅子の活用により残存機能の維持を図る
−胃ろう、気管切開
−患者の状態に合ったコミュニケーションの方法を指導する
もどる
Q25 病気の進行を少しでも遅くする方法はないのでしょうか?
A. 現在、いくつかの薬が有望と言うことで、治� ��によりデータが取られています。
しかし今、保険医療で使用が認可されている薬で病気の進行を止めることの出来る
ものはありません。でも、病気の進行が遅いと思われる患者さんには、例外なく以
下のような特徴があります。
(1)生き甲斐を持って社会をしておられる。
(2)毎日、手足を動かす努力(リハビリ)をされている。
(3)パソコンやワープロを始めとして残存している手足の機能を最大限利用して
活動されている。
(4)栄養に気を配り、食べる努力をしておられる。あるいは胃ろうにより充分な
栄養を取っている。
(5)生きることの希望を持っておられる。
英国の理 論物理学者、スティーブン W.ホーキング博士は、ALSを患いながら
長期生存している一人として有名です。58歳のホーキング博士は1963年、彼
が21歳で英国のケンブリッジ大学を卒業した年にALSと診断されましたが、
37年経った今でも現役として働いています。ホーキング博士はALSと診断され
た後に、「宇宙の起源と性質」に関する有名な業績を成し遂げました。さらに、
結婚して3人の子供の父となっており、ALSでは、知的能力も性的能力も損なう
ことがないことが判ります。 もどる
Q26 長続きする介護のた� ��の"こつ"は何ですか?
A. 介護を長続きさせるためには、
(1)安心して任せられる協力者(介護人)を数名見つけること。
(2)自分一人で患者さんを支えていると思わないで、悩み事、困っている事など
を周りの人に相談すること。
(3)身近にいる患者さんや患者の会など、介護者同志の情報交換も役立ちます。
(4)特に福祉サービスなどを使って気分転換を図ること。
(5)バランスの良い食事と睡眠をできるだけ取ること。疲れたら休養も忘れずに
(6)近所に、日常のちょっとした異常でも直ぐに相談のできる家庭医を見つけて
おくこと。必要に応じて、専門医との連� �が取れるように配慮してもらって
おくと、何か困ったときに助かります。 もどる
Q27 人工呼吸器を付けたままで、在宅療養することは可能なのですか?
在宅療養するためには、次のことを整えておくことが重要です。
(1)肺炎、栄養障害などで具合が悪くなったとき、介護者の具合が悪くなった時
に直ぐに入院できる病院を確保しておく事。
(2)気管カニユーレ、胃チューブの交換のために往診してくれる家庭医をつくる
こと。
(3)主たる介護者のほかに、部分的にでも手助けできる介護者、あるいはシステ
ムがある事。(例: 訪問看護ステーション、市町村ヘルパーの派遣など)
(4)人工呼吸器、吸引器、アンビューバッグなど、多少の医療器具、消耗品を
揃える必要があります。
(5)近くの消防署、電力会社などに病院、保健所を通じて患者の状態を知らせ
ておきます。 もどる
Q28 停電などの緊急時には、どうしたらよいのでしょうか?
以上は動きますので慌てることはありません。また、人工呼吸器とは別に予備の
バッテリーを備えておけば、3〜4時間は大丈夫です。また、自動車がそばにあ
れば、自動車のシガレット用ソケットからコードを引いて呼吸器を動かしたり、
吸引器を動かすことも可能です。普段から、そのような事故のことも考えて対策
を考えておくと慌てなくてもすみます。人工呼吸器が急に故障したような時には
慌てないでアン ビューバッグを用いて手もみで人工呼吸を継続すれば、どんな長
時間でも大丈夫です。介護者が一人しか居ない時でも人工呼吸の回数を少し多め
に(過呼吸の状態に)すれば、ほんのちょっとの間なら席をはずすことも出来て
救急車を呼ぶことができます。 もどる
Q29 人工呼吸器を付けているのですが、食物を口から全く入れてはいけませんか?
味覚も正常に味わうことが出来ます。嚥下が出来ない状態で、食物を口に入れる
ことは嚥下性肺炎を起こしますので危険です。しかし、気管切開がしてあれば、
気管カニューレのカフ(空気袋)でカニューレより上方からの唾液が気管に流れ
込むのを防ぐようになっていますので、患者さんの好きな食べ物(コーヒー、よ
うかん、アイスクリームなど)を口に入れても危険は全くありません。患者さん
は自分の力で飲み込むことは出来ないかもしれませんが、舌の上に置かれるだ� ��
で充分に味わい、楽しむことが出来ます。ただ、口腔内の清潔には十分注意して
下さい。 もどる
Q30 気管切開しているのですが、気管カニューレからの喀痰の吸引が頻回で大変なの
ですが…
A. 嚥下がうまく出来ないALS患者は、口の中に唾液がたまり、また気管切開がし
てあると気管の中にたまった喀痰も咳をして、自分の力で喀出することが出来な
いので、頻回に吸引するように要求します。気管カニューレからの喀痰の吸引は
健康人がテ� �ッシュで鼻をかむ行為のようなものですが、一日の回数が多いため
介護者にとって相当な負担となり、この吸引する人を揃えることが出来るかどう
かが、在宅がスムーズに行くかどうかの決め手になります。しかし、気管カニュ
ーレからの吸引は医療行為とされますが、家人が日常的に行っている行為であり
少し練習すれば誰でも危険なく行うことが出来るので、個人的な了解を基として
ヘルパーさんやボランティアの方に行っている例が増えてきています。
Q31 医療費、生活面での補助金制度はないのですか?
が出来ます。生活面での補助金制度は、住んでいる地域、障害の程度によって異
なりますので、病院のソーシャルワーカーに相談されるか、保健所の担当保健婦
に相談されるのが一番よいでしょう。Q32 人工呼吸器を付けたALS患者を入院させてくれる病院はありませんか?
A. 人工呼吸器を付けたALS患者の入院については、入院期間が長期になる可能性
があること、家族の協力が絶対に必要� �ので、出来るだけ家族の居住地に近い病
院が望ましいこと、また、出来れば在宅療養に移行した場合にも支援を受けるた
めに訪問診療、訪問看護の出来るところが望ましいのですが、なかなかそのよう
に病院を見つけることは困難です。1997年10月に「厚生省ALS全国医療
情報ネットワーク」が作られ、それによって各都道府県に数ヶ所の「代表施設」
が定められていますので、そこに相談されるのがよいと思います。もちろん、
「協力病院」として名乗りを上げている近くの病院に直接相談されてもよいでし
ょう。しかし、残念ながら各病院の現状では直ちに入院、もしくは長期入院が、
可能な体制とな っている所ばかりではないことも承知おき下さい。
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